怠け者には旅をさせよ~和歌山旅行記~

今春買った青春18きっぷ(1日JRが特急以外乗り放題)が残っていることに昨夜気づいた。

「明日、朝早く起きたら旅に出よう」と一種の賭けを思った。なぜ賭けと表現するか。それは、巷で僕は「寝床仙人」と呼ばれるほど朝も昼も夜も忘れ眠り呆けているからだ。多分、身体が新生児モデルなのだと思う。

だから、僕が早起きをすることは奇跡にも等しく、奇跡が起きたのなら旅に出ても良いという寸法だ。そう思いながら。寝た。

 

翌朝。早朝7時40分に起床。本当に奇跡起きた。脳内にGReeeeNが流れる。「明日、今日よりも笑顔になれる」うるせえ!!!明日じゃねえ!今日行くんだ!旅。もちろん行き先は決まってないが。

 

とりあえず卵かけご飯とお茶とコーヒーを胃に沈め出発した。そしてバタバタしてる間に行き先も依然決めぬまま大阪駅に着いてしまった。通勤ラッシュで大阪駅は凄い人だかりだ。行き交う顔。顔。そして顔......。行き先どうしよう。どこに行こう。そんな時。おっ!!ふと、ある女の人の顔に目が止まった。同時に「和歌山に行こう!」と決意した。目に止まったその顔は少しばかり梅干しに似ていた。

 

話は変わるが、ここで「旅を楽しむための3つのステップ」というものをボケナス読者に教えておこうと思う。では①②③で。

①コンビニに行きます。

②酒を買います。

③豪快に飲みます。

これだけ。これだけで楽しくなる。

 

僕は片手に読みかけの文庫本、もう片手に飲みかけのスーパードライという両手に花で紀州路快速に乗り込んだ。

ちなみに文庫本は「西の魔女が死んだ

これは不登校になった少女が「西の魔女」と呼ばれるお婆ちゃんの家でお手伝いをして少しずつ成長していく物語。切なくも温かいハートフルストーリーである。

車内で飲みながらこれを読んでいるとポカポカした気分になった。断じて酒でポカポカしたわけではないと言っておく。多分。きっと。まあでも、間をとって相乗効果ということにしとこうか。(西の魔女素晴らしかったです。)

 

早々に読みかけであった一冊目を読み終えてしまったので、阪和線に乗り込んだところで二冊目を手に取った。氷菓シリーズ「クドリャフカの順番」これも文庫本。先程はふざけてしまったが、文庫本を読みながら、大した宛もなく電車に揺られるのは良いものである。車窓から見える景色が、だらっとした非日常に一層の満足感を与える。

色々な景色を車窓から見た。お花見するママ達と連れられてきた(たぶん退屈な)子供たち。ばかデカイ名前も知らん山々。大阪湾か和歌山湾か名前も知らん海。窓に反射する、本を片手にした猿顔の人間。

 

それを見たり見なかったりしながら本を読んでいるとお腹が減ってきた。もう昼過ぎだ。そんな時、4人の女子高生達が入ってきたようだ。どうやら短縮授業があったらしい。「○○って顔キモいけど授業面白いよね~w」「ww顔キモいけどめっちゃ分かりやすいしねw」

 

おそらく先生について話しているのだろうが、僕は顔面至上社会の一端を見た気がして戦慄した。顔がキモければ何をしても枕詞「顔キモいけど」がつけられる地獄。

whatever you do ,you are busaiku.この悪しき風潮がこんな和歌山の辺境まで及んでいるのである。いわんや大阪をや。である。

なんだか少しだけ腹が立ってきたのは、自分が枕詞「顔キモいけど」を欲しいままにしているという自覚が少なからずあるからだろうか。

そんなに人に言う君達の顔はどうなんだ。怒りが沸いてきた僕は、彼女らが降りる際、顔を見てみた。あーーーーなるほど。みんな粒ぞろいの美人だった。あざす。それはそれであざす。僕もいつのまにか顔面至上社会の一員なのかもしれない。

 

彼女らは和歌山駅で降りた。そして僕も一緒に和歌山駅で降りた。(終点だったから降りただけ。ボケナスの読者が思っているような他意はない。)

次回は午後編。これは車窓から見えた謎湾。帰りのだけど。
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